ECHO OF SOUL 最安値
2015年4月9日に行われたNHN PlayArtの新作MMORPG「ECHO OF SOUL」(以下,EOS)の記者発表会では,試遊スペースが用意されており,実際にゲームをプレイすることができた。ここではテストプレイでの印象と確認できたゲームの仕様をまとめておきたい。
さて,EOSは新作ゲームではあるが,「Lineage II」と同じエンジンを使った,元Lineage IIの開発スタッフによる作品となる。すると,どうしてもLineage IIと比較したくなる。だが,いろいろ見ていくうちにLineage IIは規模やコストが規格外すぎるのでやめておいたほうがよさそうだという結論に達した。
MMORPGの草創期に作られたLineage IIだと,あらゆる部分で「加減が分からないからとりあえず全力でやってみた」感が漂っているのだが,MMORPGがいろいろ出てきて「加減が分かってきた」あたりからは同規模のゲームというのはほとんど登場していない。ある意味で最適化が進んでいるわけだ。
以下,Lineage IIとの比較が頻出するのだが,あらかじめそのあたりを含んだうえで読んでいただきたい。
新作MMORPG「ECHO OF SOUL(EOS)」発表会開催。あえて“次世代”を狙わないそのゲームの意図するものはなにか
●マップ構成
Lineage IIでは元々FPS用のエンジンだったUnreal Engine 2にシームレスマップを実装したというのがトピックでもあったのだが,EOSではシームレスマップではなくゾーン切り替え式になっている。比較的すぐに次のエリアへのポータルが見つかっていたので一つ一つのエリアはさほど広くない印象だ。
大きな一つのマップの中をさまようようなプレイスタイルもMMORPGの楽しみ方の一つではあろうが,EOSではそういったものは切り捨てているように思われた。開発リソースは違う部分に集中しているのであろう。
街を出てすぐのところにポータルがある
そのわりに街の中は広くて入り組んでいる。マップを見て方向を確認してから正門を目指していたのだが,いつのまにか北門に着いていたりしたこともあった。街は人が非常に多く集まる場所なので,おそらく人口密度を減らしたり,遮蔽を多くして描画範囲や情報伝達範囲を限定したりしているのだと思われるが,見通しが悪いのでこのあたりのプレイアビリティはよくなかった。
初期街のマップ。現在位置から後ろを向けば正門まで一直線……ぽく見えるのだが,実際には回り込んで階上に上がらなくてはいけない。アップダウンを含んでいるので見通しは悪い
中央広場から正門に向かっているところ
●操作方法
操作方法は,マウスとキーボード併用のMMORPGとしては突飛なものではなく,普通のMMORPGをやったことがあればすぐに理解できるだろう。
とはいえ,クリック移動は廃されており,W/A/S/Dキーによる移動が基本だ。ショートカットは,フルキー側の数字キーの並びとファンクションキーに割り当てられている。Fキーで近くの人に話しかけたり,モンスターがドロップしたアイテムを拾ったりできる。
ショートカットスロットの様子。TキーとYキーは,2つしか選べないという究極スキル用のものだと思われる
要するに操作のほとんどが左手に集中している。さほどアクション性は要求されないので,左手側がそう忙しくなることもないとは思うのだが,そうはいっても遠距離職などだと,動き回りながら攻撃をするのが当たり前という人もいるだろう。日本展開に際してゲームコントローラへの対応も進められているとのことなので,そちらに期待するのがよいかもしれない。
●グラフィックス
何度も繰り返しになるが,元Lineage IIの開発スタッフがLineage IIと同じUnreal Engine 2.5を使って作ったのがEOSである。
では,グラフィックスについて「Lineage IIより上か?」と聞かれると,ちょっと微妙かもしれない。これはEOSが悪いというよりも,Lineage IIはシステムとして古い部分はいろいろあるものの,キャラクターの造形については,いまもってトップレベルだと言わざるをえないからだ。比べるとEOSのほうがポリゴン数も増えているようなのだが,なんとなくポリゴン1枚,テクスチャ1枚に込められた気合というか執念の量が違う気がする(参考記事)。
具体的なところは掲載しているスクリーンショットから各自で判断してほしいのだが,一般的な3D MMORPGと比較すると,まず標準以上と言っていいのではないだろうか。最新ではないとはいえ,Unreal Engine侮りがたしという感じだ。
●キャラクターエディット
キャラクターエディットは,細かいパラメータを調整する方式ではなくて,パーツを選択する方法が基本だ。各部の大きさについてはスライダーで調整できる。
ベースとなる顔型には結構な数が用意されているので,さほど不満は出ないのではないだろうか。
顔の選択画面。そういえば,種族の話はまったく出てこなかったのだが,アーチャーだけ長耳だった
いろんな意味で小さな子供が気になる。このキャラクターのサイズが大きく作られているだけだろうか
各クラスの特徴
EOSには現在5つのクラスが用意されている。それぞれのクラスは,レベル10で二つの特性を獲得し,どちらかに切り替えてプレイをしていくことになる。利用できるスキルは,両特性で共通のもの,特性特化のものの2種類があった。
なお,特性の切り替えには一定の時間がかかるので,頻繁に切り替えて……といったことはできないようだ。
特性の切り替え中。スキルウィンドウの真ん中に1,2という四角いボタンがあるので,それで特性を選択し,特性活性化ボタンで切り替える。切り替えには少し時間がかかる
スキルの使用には,画面下にある右側のエネルギーのゲージを使うのだが(左側の赤いのはHP),ゲージの増え方はクラスによって違いがある。大雑把にいうと,近接攻撃系のクラスは攻撃を行うことでゲージが溜まっていき,攻撃をやめるとどんどん減っていく。遠隔系のクラスは最初から溜まっているゲージがあってスキルを使用するたびに減る方式だ。攻撃をしていないときには,ゲージがゆっくり回復していく。
●ウォーリア
大剣を振るう戦士である。大きな剣を振り回すためか,範囲判定のある攻撃も多い。
パーティではタンク役の「守護」か近接アタッカーの「狂乱」を選択できる。狂乱については分かりやすいのだが,すでに掲載したスキルムービーを見ても「どのへんが守護?」と思われた人もいるかもしれない。
そこで守護のスキル構成を眺めてみたのだが,ヘイト上げのスキルが特徴ではあるようだ。頑丈さ自体はクラスの特徴で,守護の特性で挑発などを使ってパーティでの狩りを安定させるプレイスタイルになるのだろう。
●ローグ
一般的なゲームのローグに比べると獲物が大きい。両手に大刀を装備して斬りまくるクラスだ。クリティカルの発生が多くて「強襲」と「毒」のどちらもDPSが高めなのだが,毒はかなり効く感じだった。その分,クールタイムも長めだったので,クールタイムの短いスキルを連発するのとどちらが有利なのかは不明だ。
●ガーディアン
名前からはタンククラスのような雰囲気があるのだが,サブタンク相当となる。今回は確認できていないが,補助スキルを持つことも特徴らしい。武器はポールウェポンで,ちょっと硬めの近接攻撃職だと思えば使い勝手はよさそうではある。
特性の「嵐」と「大地」は,いわゆる風と土系の属性攻撃に相当するのだろうが,ゲームの仕様としてこれらの属性ダメージや属性防御などが実装されているのかは不明だ。アーチャーとウォーリアでキャラクターのパラメータを見る限り,火と水の属性攻撃/防御の項目はあったのだが,風や土は見当たらなかった。
●ソーサレス
「火炎」「氷結」ともに,属性が違うだけで一般的な魔法使いクラスと考えてよいだろう。特性を獲得する前の時点で火と氷の魔法を使えるので,例えば火炎の特性の状態でもいくつかの氷魔法を使用できる。
今回は時間がなくて氷結属性を試せていないのだが,標準の火魔法は通常ダメージに加えて持続ダメージが付いているのに対し,標準の氷魔法は通常ダメージに加えて移動速度減少デバフが付くという構成だった。ほかのスキルについても同様の傾向があるかは不明だが,属性的にはいかにもな効果ではある。
●アーチャー
「射撃」「旋律」ともに基本は弓職となる。とくに射撃については一般的なゲームの弓職と大きな違いはなさそうだ。個人的に注目していたのは,英語版サイトは「Bard」と書いてあったアーチャーの「旋律」だった。
攻撃力アップソングがクールタイム6秒で効果時間30秒とかで時間管理しにくいなあとか,攻撃系のソングは同時使用できないとか,ヒーリングソングは効果自体は一瞬で60秒のクールタイムと,「EverQuest」のBardをイメージしていたらかなり違う印象だ。まあ,EQのBardはMMORPG史上でも屈指の難度のクラスだったので,あれと似ていても困るという話はあるのだが。
すべてのスキルを確認したわけではないのだが,ローグの「眠り薬」,ソーサレスの「暗黒の結界」,アーチャーの「パラライズアロー」といったクラウドコントロール系のスキルに個人的に注目している。これらはいずれも効果はほぼ同じで,20m以内にいるモンスター1匹を20秒間行動不能にできる(対人は4秒)。クールタイムは20秒なので,継続使用も可能だ。こういったスキルの駆使が要求されるダンジョンもあるのだろうか。
今回は時間内に走り回れたのが街の近くのエリアだけだった。レベル20台のエリアがせいぜいなのに,キャラクターはレベル40装備だそうで,フィールドではほとんどHPが減ることがなかった。適正レベルでちゃんとしたダンジョンに行かないとバランスについては語れそうにない。開発スタッフが心血を注いだというインスタンスダンジョンこそが本作の見どころになるのだろう。そのあたりは今後のテストで試してみたい
そのほか,せっかくなので撮ってきたスクリーンショットをまとめてスライドショウムービーにしておくので,ゲームの雰囲気を感じ取ってみてほしい。
EOS rmt