ゲームオンが配信する新作オンラインRPG『LOST ARK ロストアーク RMT』が、10月23日でオープンサービス開始から1カ月を迎えることをうけ、日本運営プロデューサーである嶋田真人さんに本作の現状と今後の予定などをお聞きしました。
インタビュー内では、既存ユーザーが知りたい今後の運営に関するお話に加えて、これから本作を始めようと考えている人に向けたポイントなどについて語られています。
――サービス開始から1カ月が経過しましたが、反響はいかがでしたか?
嶋田:元々韓国の方で成功をした事例がありますので、日本もある程度は盛り上がるかなという予想はしていました。昨今のPCオンラインゲーム市場を鑑みて想定を低く見積もっていた部分もありましたが、結果的には多くの方にプレイしていただき、想定を大きく上回る反響をいただけました。
――反響があったと実感した部分はどこでしょうか?
嶋田:現在アクティブユーザーのほとんどは50レベルを達成し、ガーディアンレイドやカオスダンジョン、アビスダンジョンを含め、さまざまなエンドコンテンツを楽しんでいます。その他にも航海コンテンツも用意されており、数多くの冒険島を訪れ、ロストアークで提供しているさまざまな要素を楽しんでいます。
追加ですべてのクラスのレベルが50のプレイヤーはまだいませんが、合計6つのキャラクターをレベル50にしている方までは確認(※取材時)しています。
――反響を呼ぶことができた理由はゲームのどこにあったと考えていますか?
嶋田:多くの方にプレイをしてもらえた理由としては、まず情報が出た段階で作品を追いかけてくれていた方々がいらっしゃったことが1点。加えて、MMORPGをプレイしたことがない方々が本作をプレイし、「初めてやったけどおもしろい!」とSNS上などで口コミしてくださったのも大きな理由の1つだと思います。
――MMORPG経験者と未経験者の割合的にはどのくらいなのでしょうか?
嶋田:その傾向が見られている部分が、プレイされている年齢層です。多いところは30代中盤の方ですが、同じくらい20代前半の方もいらっしゃいます。恐らく20代の方の中には、年代的もMMORPGを初めてプレイした人も多いのではないかと思っています。30代の方の多くは、恐らくMMORPGの黎明期からのプレイされている方々だと思います(笑)。
――『LOST ARK ロストアーク RMT』は古き良きMMORPGという印象が強いです。
嶋田:昔からMMORPGをプレイしてきた人たちは、昔にはよく見られたキャラクターを上から見下ろすクォータービューの視点に慣れていますよね。ところが、運営内で若い社員に話を聞くと、クォータービューが新鮮でおもしろいという意見もありました。この視点は、懐かしさを感じるポイントでありつつも、新しく始めた人にもおもしろいと感じてもらえている部分だったのかなと。
――クォータービューなど懐かしさを感じるポイントは、世代の人々を狙って組み込んだ要素なのでしょうか?
嶋田:その狙いはもちろんあります。3Dはさまざまな視点を楽しめる魅力がありますが、制限がある視点も慣れてくると、シンプルさが癖になるところもあると思います。また、通常画面はクォータービューですが、ダンジョンに行くと急にカメラが切り替わってボスが登場したり、美麗なムービーが流れたりと、このカメラワークだからこそ際立つ演出も用意しています。
――『ロストアーク』はCMも大きな注目を集めていますね。
嶋田:公式YouTubeチャンネルではCM動画の公開もしていますが、そちらが400万回再生(※掲載時点で400万回再生を突破)されています。広告としても流しているのですが、それにも関わらず多くの高評価をいただけており、過去にMMORPGをプレイしていた方から「懐かしい」「わかる!」というコメントも寄せられています。
――あのCMはどういった経緯で制作されたのでしょうか?
嶋田:検討段階からあったのは、「すごく良いCMを作りたいよね!」というザックリとしたイメージでした(笑)。せっかく作るならば、CM大賞を取れるくらいのものを作りたいと思い「どんな内容がどんな人に刺さるだろう」と考えました。そこで、テストプレイなどの傾向を見て、昔ながらの雰囲気を活かしつつ、かつてPCオンラインゲームに熱中していた方々に懐かしさを感じてもらえるようなCMにしました。
――狙い通り、CMは多くのMMORPGファンの評価を得ることができました。
嶋田:その中でも予想外だった点が、若い人たちからの反響もあったことですね。単純にCM自体がすごく良いものになったことも理由だと思いますが、他にも「もし自分が昔からMMORPGをやっていたら、こんな世界があったのかも」という、未知の世界の魅力に気づけるきっかけになったのではないかと思っています。CMを通して、若い方にMMORPGの魅力を届けられていたらうれしいですね。
――『LOST ARK ロストアーク RMT』は韓国で先行リリースされていましたが、日本でのサービスと比較して、日本ならではの傾向などは見られましたか?
嶋田:ゲームの仕組みは変わっていないので、プレイヤーさんの動きは韓国と同じ傾向が見られました。ただ、元々韓国ではシーズン1という形で運営が行われており、日本版はシーズン2の状態からスタートしたので、その影響によるコンテンツやバランスの調整が入っています。
――日本版のサービスで、何か修正が入った箇所などはあったのでしょうか?
嶋田:他のタイトルではそういったこともありましたが、『ロストアーク』はあえて変更を行わない形にしました。元々の理念として、僕らが最初に『ロストアーク』をプレイした時の「メチャクチャおもしろい!」という感覚を、そのまま感じてほしいという考えがありました。
――自らのプレイ体験をもとに、そのままの形を意識することになったのですね。
嶋田:僕らは当初、韓国語版をプレイしていたのですが、それでもストーリーを理解でき、ゲーム部分も楽しく遊べました。開発元のスマイルゲートRPGさんもゲームの細かいところまでこだわりを持っているので、それを崩さないように、テコ入れしないことを選びました。
――アバターなどは日本独自のものも登場していますが、その点はいかがでしょうか?
嶋田:日本限定のアバターの制作を韓国にお願いしたのですが、それも想像をはるかに超えるクオリティのものでしたからね。みなさん、ゲームにプライドとこだわりを持って開発に臨んでくれています。
――韓国の開発元とやり取りをする際に、その熱量は感じますか?
嶋田:感じますね。日本で流行しているアニメは韓国でも人気ですし、みなさん最新のアニメや漫画まで全部知っていますよ。元々みなさん日本のゲームが好きで、日本のRPGを昔から遊んでいた人もいます。実は『ロストアーク』にも日本の国民的RPGをリスペクトした要素もあったりするので、気が付いた方もいるのではないでしょうか?
――今後、日本独自のスキンやアップデート、作品とのコラボなどの予定ありますか?
嶋田:そうですね。アバターなのかクエストなのか、形はわかりませんが、今後も日本の作品とのコラボなどを行う可能性もあります。
――そういった要望は、韓国からも出ているのでしょうか?
嶋田:こちらか要望を出すこともあれば、開発から提案が来ることもあります。こうしてお互いに意見を交換する関係は、自分の経験の中では珍しいことだと思います。
――プレイヤーからゲームに関する要望などはすでに届いていますか?
嶋田:まず、バグの報告などは報告を受けているものもありますので、それらは順次修正していく予定です。他には、島が出現する際に表示される時間表示のズレや、タイミングによって見えなくなる島を常時出現させてほしい、といった要望は届いています。
あとは、アイテム集めのスピード感や、ゴールドの相場や入手量などに関するご要望も把握しています。特に、今はゴールドの価値がかなり上がっているので、そのバランスを考えてほしいなどのご意見をいただいています(※取材時。一部改良が加えられた部分あり)。
――これらの要望は、解決されると考えても良いのでしょうか?
嶋田:ご意見・ご要望に関しては、すべて開発元と協議しています。その中でも、ゲームバランス関係の調整については優先度が高いので、要望が解消される可能性は高いです。
例えばゴールドに関してはイベントなどでも問題を補完しましたが、その翌週にゴールドに対する根本的な問題に対しても緩和処理をするなど、問題事項があれば開発元と協議を行い補完しようと努力を行っています。
――現在のバージョンで、運営の課題としてとらえている部分はありますか?
嶋田:我々もこの1カ月で課題点を洗い出せてきて、どこまで解決が進んだ時に、どのような形でみなさんにお伝えすべきか考えている段階です。すべての課題をすぐに解決とはなりませんが、お待ちいただければと思います。『LOST ARK ロストアーク RMT』
――現在は12月までのロードマップが公開されていますが、今年のアップデートはこの表記から変更はありませんか?
嶋田:基本的には、今年のアップデート内容は決定しており、発表したロードマップ通りに進む予定です。ただ、11月の“シルマエルの戦場”の要塞戦などは、プレイヤーさんの状況を見て調整する可能性はあります。
――中でも大きなアップデートである箇所はどこでしょうか?
嶋田:やっぱり“ランスマスター”の追加ですね。みなさん注目されているところだと思います。もちろん、今後はほかにもクラスの追加は行う予定ですので、楽しみにしていただければと思います。
――新クラスの追加はどのくらいの頻度で行われるのでしょうか?
嶋田:来年のアップデートの詳細は開発元と協議中のため未定です。ただ、現在まで韓国で公開した新クラスは全部で6種で、とても魅力的なクラスが用意されています。日本でもタイミングを見て早く新クラスが追加できると期待しています。
――現在は韓国の後を追う形のアップデートですが、いずれは追いつくと考えてもよろしいのでしょうか?
嶋田:現在は1カ月に1回は大がかりなアップデートを行う予定で、いずれ日本も韓国のバージョンに追いつくはずです。プレイヤーのみなさんも、韓国版での実装を知りながら日本版でプレイできない状態では、満足できないこともあると思いますので。
――日本でのサービス開始に乗り遅れてしまった人に向けてのサポートは予定していますか?
嶋田:年内はどんどん新規のプレイヤーさんに入っていただきたいので、初心者向けの施策も用意してあります。多くの人の目に留まるようなプロモーションはもちろん、ゲーム内の新規プレイヤー向けキャンペーンやプレゼントなどを考えています。
ゲームの安定状況についても、第1サーバーの“AMAN(アマン)”は混雑状況になることもありますが、もう一方の“KHARMINE(カーマイン)”はまだ余裕がありますので、未プレイの方は“KHARMINE”でプレイしていただくとよいかと思います。
――その際、既存ユーザーとのゲーム進行度の違いはプレイに影響しないのでしょうか?
嶋田:MMORPGはスタートダッシュに遅れてしまうと始めにくい印象を持たれている方も多いですが、『LOST ARK ロストアーク RMT』はレベルキャップのレベル50まですぐに到達でき、しばらくレベルキャップの変更の予定もありません。今から始めていただいても、そこまで大きな差を感じずにプレイをしていただけると思います。
レベル50になってからが本番のような面もありますが、メインクラスがレベル50になって新たなクラスを育てる方も多いので、初心者の方がパーティを組む相手に困ることも少ないはずです。
――11月には新クラスも登場しますし、まだまだ始めても遅くはないですね。
嶋田:11月に実装予定の“ランスマスター”も、ゲームを初めてレベル10になればすぐに選択可能です。実装直後は新キャラクターを育てる人が多いと思いますので、そのタイミングであれば特に、既存のプレイヤーさんと足並みをそろえたプレイができるのではないでしょうか。
ゲームのスタンスとしても、複数キャラクターを育てることが前提になっている部分もあります。既存のプレイヤーさんは既に2つ目以降のキャラクターを育てている方も多いですので、新規の方もそれと並行して一緒にゲームを楽しめるかと。始めたタイミングの差は感じにくい作品だと思います。
――現行バージョンで、MMORPG初心者におすすめするならどのクラスでしょうか?
嶋田:好きなクラスで遊んでもらうのが一番ですが、操作性や育成難易度に関しては、“バトルマスター”や“インファイター”といった“ファイター”系のクラスですね。スピードも速くて、わかりやすい攻撃が多いです。
他には、“マジシャン”系も魔法攻撃がわかりやすく、その中でも“サモナー”は扱いやすいクラスですね。各クラスには正統派生の上級クラスが存在しており、スタンダードな扱いやすいキャラクターになります。初心者の方は、これらが遊びやすいと思います。『LOST ARK ロストアーク RMT』
――クラスによってソロ向き、マルチ向きなどの傾向もあるのでしょうか?
嶋田:“マジシャン”の“バード”はマルチ向きのキャラクターなので、ソロで進める際には難しいところもあるかもしれません。同様に“ウォリアー”の“デストロイヤー”など範囲攻撃が少ないキャラ育成は大変ですが、どちらもある程度まで育てると非常に強力なキャラクターになります。
レベル10になれば、選択していないクラスも試せる機会があるので、そこで自分に合うものを探す方法も良いでしょう。選択したクラスによってストーリーも変化するので、ストーリーを見比べて選ぶのも一興だと思います。
――序盤のプレイで意識すること、注意することがあれば教えてください。
嶋田:とりあえず、貴重なアイテムと交換できる“モココの種”を集めておくと良いと思います。それと、ゴールドは不足しがちなので、大切にしておいた方が良いですね。ゴールドは課金で購入することもできるので、人によってはどんどん使ってしまって大丈夫かもしれませんが(笑)。
――PCゲームということで、プレイ環境に関するお話もお聞きできればと思います。
嶋田:『ロストアーク』は近年のゲームにしては必要スペックが低いので、リモートワーク用に買ったノートPCでプレイできる……という方も多いかもしれません。PCスペックの問題でPCオンラインゲームを敬遠していた方も、一度試してみていただければと思います。
→動作環境の詳細はこちら。『LOST ARK ロストアーク RMT』