2002年5月にPS2版がリリースされたMMORPG「ファイナルファンタジーXI RMT」(以下,FFXI)。同年の11月7日にPC版のサービスが開始しており,こちらも今月で18周年を迎えることになった。11月10日にメジャーバージョンアップの終了から丸5年が経過,さらに毎年11月11日は“XIの日”と呼ばれていることもあるので,このタイミングで本作の18年にわたる歴史を,筆者のプレイの思い出とともに綴っていこうと思う。
最前線をひた走るわけでもなく,また少しプレイから離れていた時期があったが,現役プレイヤーとして,まったりとマイペースにヴァナ・ディールを生きるプレイヤーとして,復帰を考えている人に最近のFFXI事情もお届けしよう。
筆者が“ヴァナ・ディール”の地を初めて踏んだのは,サービス開始から少し遅れた2002年8月。サービスインと同時にスタートできなかったのは,ネットワーク環境が整っていなかったからで,またプレイに必要なBBユニットも購入できていなかった。
当時は学生だったこともあり,まだ一般的とは言えなかったネットワーク環境の整備はハードルが高く,親に必死に頼み込んで揃えてもらったと記憶している。
プレイが可能になったのがちょうど夏休みということもあり,かなりどっぷりとFFXIに浸かることになった。新学期が始まっても「所属はFFXI部!」と言い張り,放課後はすぐに帰宅してヴァナ・ディールにログインする日々を送っていた。
キャラクターのメインジョブを白魔道士にしていたこともあり,ログイン直後に即無言でパーティに招待されることも多かった。ただ,あまり気持ちのいいものではなく,またさまざまないざこざもあって,早々にパーティプレイから離れる事になる。その後は,オンラインゲームでありながら1人で遊ぶことが多くなった。
ただ,ソロでレベル上げをしたり,素材集めをして合成に勤しんだり,またリンクシェルのメンバーとチャットで盛り上がったりと,楽しいことはたくさんあった。色々なクエストをこなして世界を見て回り,自由気ままに生きていくうちに,レベル上げだけがヴァナ・ディールでの生活ではないのだと思うようになっていった。
その後,FFXI好きが高じてオンラインゲーム専門誌の編集部に入り,フリーランスになった今もこうして本作に関する記事を書かせてもらっている。このタイトルのプレイによって人生に影響を受けた人の多くは,「FFXIは遊びじゃない,人生の一部なのだ!」と言うが,筆者もまたその1人であることは間違いない。
「ファイナルファンタジーXI RMT」
もうずいぶんと昔のことに感じるが,正式サービス開始の翌年である2003年4月17日に,最初の拡張追加ディスクである「ジラートの幻影」が発売された。エルシモ地方や“聖地ジ・タ”があるリ・テロア,天空に浮かぶ島のトゥー・リアが追加されたほか,新しいジョブである召喚士や侍,忍者などにもジョブチェンジできるようになった。
メインストーリーの続きも用意され,FFXIの世界が大きく成長。オンラインゲームを初めて経験していた筆者は,その新しい体験に心を躍らせたものである。
拡張データはパッケージ版とダウンロード版がリリース。またサントラやグッズなど関連商品の展開も行われている ※写真はごく一部
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その後も「プロマシアの呪縛」(2004年9月16日),「アトルガンの秘宝」(2006年4月20日),「アルタナの神兵」(2007年11月22日),「アドゥリンの魔境」(2013年3月27日)がリリース。ヴァナ・ディールの世界はさらに広大になり,冒険者たちを魅了していった。
また,拡張追加ディスクとは別に,追加シナリオの「石の見る夢」や「戦慄!モグ祭りの夜」「シャントット帝国の陰謀」「禁断の地アビセア」「アビセアの死闘」「アビセアの覇者」なども販売された。
メインミッションに比べて物語は短いものの,報酬を手にしたりNPCの新たな一面を垣間見たりすることができたので,これまた人気のコンテンツとして賑わったのである。
Xbox 360版のサービスも行われるなど,長きにわたり盛り上がりを見せてきたが,新たなオンラインゲームの台頭などにより,その勢いは衰え,2015年5月から実装が始まった「ヴァナ・ディールの星唄」が最後の大型バージョンアップとなってしまう。「ファイナルファンタジーXI RMT」
サービスの終了ではないものの,やはりメジャーバージョンアップが終了することのインパクトは大きかった。ゲームメディアなどには開発陣のインタビューが掲載され,そこには「このアップデートにすべてをつぎ込んだ」や「この機会を逃したら,この要素は入れられないかもしれないと思って実装した」といった言葉が並んでいた。
また冒険者たちも,「この物語がFFXIを締めくくるものになる」といった寂しさを感じながら,ミッションに挑んでいくことになったのである。そう,これが自分たちの最終幻想なのだと。
そして2015年11月10日にメジャーバージョンアップが終了し,それ以降はマイナーバージョンアップのみの実施となる。アンバスケードやオーメン,デュナミス~ダイバージェンス~などの新バトルコンテンツは追加されたものの,基本的にはバランス調整や季節イベントの配信などを軸とした更新になっていった。
ところが2020年8月,突然に新シナリオ「蝕世のエンブリオ」の実装が発表された(関連記事)。大型バージョンアップの実施! といっても過言ではないこの喜ばしいニュースはSNSでも話題になり,ここ最近のヴァナ・ディールは,少し前に比べて賑やかになってきた。
聞くところによるとプレイヤー数は増加してきているそうで,筆者のフレンド数人も復帰している。ワールドが異なるため一緒に遊ぶことはできないが,フレンドリストにある名前がログイン中を示しているのを見ると,とてもうれしい気持ちになる。「ファイナルファンタジーXI RMT」
この「蝕世のエンブリオ」は,拡張ディスクや有料のダウンロードコンテンツではない。また,プレイするにはヴァナ・ディールの星唄にあるすべてのミッションをクリアしている必要がある。
この物語を楽しむべく,今さらながらヴァナ・ディールの星唄のミッションクリアを目指した筆者であったが,キャラクターのレベルが99で,仲間として戦ってくれるフェイス(NPC)の力を借りればソロでもなんとか進んでいける難度であった。だがラストバトルだけはかなり難しく,何度挑んでも敗北してしまうことに……。なんとか7度目で勝利することできたが奇跡に近いものがあり,もう1度勝てるかと言われたら自信はない。
挑戦中に,ほかの冒険者とパーティを組めば楽に戦えるのではないかと思うこともあったが,今までずっと1人で遊んできた身としては,見知らぬ人に声をかけてることが恥ずかしくできなかった。しかし今では,誰かに助けてもらえばよかったと少し後悔している。
あまりの勝てなさにTwitterで嘆くことも多かったのだが,それに対し多くの人が励ましの言葉やアドバイスをくれたことは感謝してもしたりない。冒険者のみんなは暖かいなと思うとともに,彼らの本作への愛と情熱を深く感じられたので,まだまだFFXIは元気なんだと再確認することにもなった。
そんなこんなで,新たな世界を紡ぎだしたFFXIだが,最後の拡張データディスク「アドゥリンの魔境」が発売された2013年以降はずいぶんと世界の様子が変わってきている。特にソロでの活動や移動がしやすくなっているので,この辺りを中心に現在のヴァナ・ディールを紹介していこう。
復帰を考えている人や,これから遊ぶ人に役に立つ情報でもあるので,これからプレイを考えている人もぜひ参考にしてほしい。
1.ソロでの活動がしやすくなった!「ファイナルファンタジーXI RMT」
レベルキャップが50や75だった頃にプレイしていた人はご存知だろうが,FFXIはとにかくソロでの活動,とくに戦闘が厳しいゲームであった。敵を調べたときに「(自分と)同じくらいの強さだ」と表示されても,多くのジョブではまず倒すことができなくて,「楽な相手だ」でも,相手が楽に自分を倒してくるといった有様だ。
またダンジョンは,複数人数で仕掛けを解除しないと進めない場所も多く,高レベルであっても1人で行ける場所には限界があった。
現在,戦いにおいては,先にも触れたフェイスというNPCの分身を呼び出すことができる。魔法扱いで,同時に3体までといった制約があるが,ヴァナ・ディールの星唄ミッションを進めると5人まで呼び出せるようになり,自分を入れて6人のパーティで戦える。
フェイスには,プレイ序盤から登場するNPCのナジやアヤメ,ジラートミッションのヒロインとも言えるライオン,そして星の神子さまや五蛇将など,心強いメンバーが揃っているので,ミッションやバトルフィールドの戦闘もにも挑戦しやすくなっているのだ。
またダンジョンなどの仕掛けだが,ガルレージュ要塞の魔防門は“程よい重さの石”というアイテムを入手すれば1人でも通れるようになる。流砂洞の重量扉(通称ガルカンドア)も,クエストで入手できる“重量石”というアイテムがあれば,ガルカ以外の種族でもソロで開けられるのだ。
エルディーム古墳のスイッチなども同様なので,各種ミッションやクエストも1人でスイスイと完遂できるようになっている。
プロミヴォン辺りから実装されたレベル制限付きのバトルも,その制限の多くが撤廃されており,筆者も三国ミッションから「ヴァナ・ディールの星唄」までを1人で駆け抜けることができた。
2.移動手段が増えた!
ヴァナ・ディール内の移動だが,昔は徒歩やチョコボ,飛空艇のほか,魔法のデジョンやテレポ〇〇などの使用がメインであった。魔法はジョブの制限を受けるほか,チョコボは騎乗できないエリアなどもあり,目的地によっては到着まで十数分かかることもめずらしくなかった。
現在は,街中やフィールドのあちこちに,ホームポイントや本の形をしたサバイバルガイド(Survival Guide),魔導器のウェイポイント(Waypoint)が設置されており,一度触れて登録すれば,何度でもガイドやポイント間の移動が可能になっている。また,バトルフィールドエリアまで飛ばしてくれるNPCも存在しており,昔と比べると各エリアへの移動時間がかなり短縮された感じだ。
また,後述する“ユニティ”に参加していると,バトルコンテンツ“ウォンテッド”の討伐対象であるウォンテッドNMの出現するエリアに飛ばしてもらえる。こちらはまだ行った事のないエリアも行先にできるが,帰る手段がその場にはないので,登録しているクリスタルに戻れる呪符デジョンやデジョンリングが必須だ。
デジョンリングは2014年に追加されたアイテムで,制限回数が無限のエンチャントアイテム。リキャストも10分とほかのデジョン系アイテムより短いので,復帰者やこれからプレイする人は,優先度高めで手に入れておきたい。
さまざまなウォンテッドNMがいる危険なエリアに転送してくれる子ミスラ。一体何者なのだろうか……
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「ファイナルファンタジー」シリーズのマスコットキャラクターとも言えるチョコボ。本作にも登場し,現在も現役の移動手段であるが,2016年には“マウント”システムが実装され,モンスターなどにも騎乗できるようになった。
マウントの種類は多く,クエスト報酬やログインキャンペーンのポイントなどで入手できる。一般的なモンスターのラプトルやクロウラーのほか,「乗っていいのか……!?」と戸惑う霊獣のフェンリルなども用意されており,さらにジュノ大公・カムラナートの兄弟“エルドナーシュ”が乗っているアレこと,レヴィデイズも手に入れることができる。「ファイナルファンタジーXI RMT」
個人的なオススメは何と言ってもクラブ。為三
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また細かな点であるが,現在はチョコボやマウントから降りなくてもエリアチェンジが可能になっている。以前は街やダンジョンに入るとき,手前で降りていないと中に入れず戻されてしまう仕様であったが,そのまま侵入すれば,自動的に降りて中に入るようになっているのだ。
またチョコボやマウントが可能なエリアも拡大されている。そしてどうやら,プレイヤーキャラクターの移動速度も少し上がっているらしい。
3.フェイスで戦闘も楽々,レベルも上がりやすい
ソロ活動がしやすくなったことで,キャラクターのレベル上げも容易になっている。先に触れたフェイスを利用することでパーティメンバー集めに時間を費やす必要がなくなり,好きな時に好きな場所でモンスターを狩れるのだ。
「アドゥリンの魔境」の発売前ではあるが,2011年には取得経験値のテーブルが見直されている。敵とのレベル差によって決定する獲得経験値量が上昇しており,さらに上限値も最大で600と大幅にアップしているのだ。
なおフェイスは,フェローと異なり,育成の必要がない。先に記載したように魔法扱いで,呼び出したときのプレイヤーレベルに応じた強さになっているので,レベルが上がるたびに呼び直したほうがいい仕組みになっている。取得するためのクエストは冒険の出発国であるサンドリア,バストゥーク,ウィンダスの三国で受けることができる。クエストやミッションに登場するNPCが多いので,お気に入りのキャラクターからゲットしていくのがオススメだ。
またマウントと同様に,ログインキャンペーンで入手できるフェイスもあるので,期間中は忘れずにログインしてポイントを貯めておきたい。「ファイナルファンタジーXI RMT」
4.ネタ装備で狩場に行っても大丈夫! いつでもオシャレを楽しめるロックスタイルセット
いろいろなデザインがある武器と防具だが,戦闘は装備品の性能が非常に重要になるため,見た目を重視したコーディネイトは,街中以外ではまず無理であった。
しかし,2014年に“装備セット”システムが実装され,メニュー画面のマクロ機能から“装備セット編集”で好きな装備をセットすると,実際に装備している武器や防具の性能はそのままに,見た目だけを変えてオシャレを楽しめるようになった。
ただ,登録できる装備は自分が装備できるものと,装備している武器と同じ武器種のものになっている。「ファイナルファンタジーXI RMT」
お気に入り装備でフェイスと記念写真!
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5.さまざまなエモーション,コマンドが増加
オンラインゲームで欠かせないのが,ほかのプレイヤーとのコミュニケーション。喜びを表す/joyや,手を振る/waveを使ったキャラクターのモーションで,声をかけずとも気軽にリアクションをとることができるが,現在はさらに椅子に座ったり,ジョブ特有のモーションなどが増えている。段差は乗り越えられないが,/jumpでジャンプできるようになったのも大きな変化だろう。
リーフベンチは3人掛け。実行したキャラクターの両サイドで,ほかのプレイヤーが透明な椅子“アストラルキューブ”に座ると並んで座っているように見せられる
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フェイスによっては,/waveなどでいっしょにモーションをしてくれる
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