スクウェア・エニックスは2021年4月13日,MMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ RMT」(PC / PS4 / Mac)にて,パッチ5.5「黎明の死闘」を公開する。
今回のパッチでは,2021年秋に発売予定の新拡張パッケージ「暁月のフィナーレ」に向けてメインストーリーが大きく展開する。そして,パッチ5.xシリーズで展開してきたアライアンスレイド「YoRHa: Dark Apocalypse」とクロニクルクエスト「ウェルリト戦役」,装備強化コンテンツ「セイブ・ザ・クイーン」が完結を迎える。
さらに,4月13日からはPlayStation 5版のオープンβテストも開始され,PlayStation 4版と比べるとロード時間の短縮や4K解像度での安定したプレイに期待ができる。
今回も,多数のアップデートが入るパッチ5.5について,本作のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏(以下,吉田氏)にインタビューを行った。今回も新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大防止のため,インタビューはZOOMを使用して行っている。「ファイナルファンタジーXIV RMT」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずはパッチ5.5のメインストーリーについて教えてください。今回のストーリーが次期拡張パッケージ「暁月のフィナーレ」(パッチ6.0)につながると思うのですが,どんな物語になるのでしょうか。
吉田氏:
前回のパッチ5.4では,エオルゼア各地に怪しい塔が出現しましたが,エオルゼア住人からしたら当然放っておくわけにもいかず,調査に向かわないといけません。それに,アラミゴ王宮の空中庭園に現れたファダニエルやルナバハムートももちろん追いかけないといけないので,まずはそこがスタートだと思ってください。ハイデリン・ゾディアーク編の決着を付けていく上で,物語のピースを埋める重要なキャラクターなどもこれから出てきます。「ファイナルファンタジーXIV RMT」
4Gamer:
これまで拡張パッケージが3本リリースされていますが,やはり「蒼天のイシュガルド」実装前のパッチ2.5が一番印象的でした。今回もあれぐらいの驚きが用意されていると思って良いのでしょうか。
吉田氏:
「蒼天のイシュガルド」の時は相当なクリフハンガーを意図的に行いました。光の戦士が暗殺事件の犯人に仕立て上げられたり,国を追われたりして,「一体どうなるんだ」という感想と同時に,「このまま半年も待たせるのかよ」というお声もいただきました。今回のストーリーは,ハイデリン・ゾディアーク編の完結に向かうことになるので,「蒼天」の時ほどは捻らずに,まっすぐパッチ6.0に向かっていくと思ってください。
ただ,そうは言っても,やっぱりドキドキしながら待っていただきたいので,今回のパッチ5.5「黎明の死闘」もこれまでの拡張前の通例通りパート1とパート2に分けてお届けします。パート1があって,デジタルファンフェスで何かしら新情報が出て,それを見てからパート2をプレイして,この3つの流れをメインシナリオだと思ってもらって,予想や考察を膨らませて拡張パッケージのリリースを楽しみにしてほしいです。「ファイナルファンタジーXIV RMT」
4Gamer:
おそらくメインストーリーに関係すると思うのですが,新インスタンスダンジョンのスクリーンショットがアマルジャ族に関連する場所のように見えました。
吉田氏:
ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが,その点は予想を外れていないと思います。パッチ5.4でコボルド族とリムサ・ロミンサの間に一定の和解と言いますか,協定みたいなものが改めて結ばれ,エオルゼアが徐々にまとまっていく中,今度はアマルジャ族に何かが起こるんだと思ってもらえれば良いです。
4Gamer:
敵対している蛮族との和解がテーマになるようなイメージでしょうか。
吉田氏:
そうですね,ちょっとニュアンスが難しいのですが……。現実でもそうですが,歴史上長く分断があったところに,そう簡単な和解があるとは僕は思っていなくて。ゲームなんだから現実よりはハッピーにしてほしいとか,サッパリしてほしいというのも分からなくもないのですが,MMORPGとして世界を更新していくFFXIVは,清濁併せ持つゲームにしたい,と考えています。
パッチ5.4で描かれたコボルド族も,リムサ・ロミンサを全面的に信じたという落としどころにしたつもりはなくて,あくまでメルウィブという現在リムサ・ロミンサを率いている人の命を懸けた覚悟があって,それでいったん手を握っているだけなんです。つまり現在のリーダー同士が握ったに過ぎない。この手をずっと握り続けるためには,何代にもわたっていろんな困難を一緒にクリアしていかないといけないと思っています。「ファイナルファンタジーXIV RMT」
4Gamer:
エオルゼアに住む人や蛮族たちにはいろいろな問題がありますし,やはりそう簡単に和解できるものではないのですね。
吉田氏:
これまでも内政干渉とか,いろんな所をあえて描いてきたこともあるので,そこを掘り下げないまま,先の展開に持っていくのは違うかなと思っています。そういうところを丁寧に描いていきたいという意思は今回のパッチ5.5でも出ています。それは漆黒のヴィランズの前にも,遠回りに見える政治劇やキャラクターの掘り下げをやってきたからこそ,カタルシスに集中できたという面もあると思うのです。
4Gamer:
わかりました。拡張パッケージの話になりますが,パッチ6.0で「ガレマルド」に行けるようになり,そこで帝国サイドの話も出てくると思います。現在ウェルリト戦役でも帝国サイドの話を掘り下げていますが,そこに登場するガイウスなどがメインストーリーに合流することはあるのでしょうか。
吉田氏:
ウェルリト戦役は強制クエストにしていないので,一切やっていない人もいらっしゃるんです。クエストをやっている人とやっていない人がいる状態で1人のキャラクターを描くのはすごく難しいので,出ないとは言わないですが,主役級のキャラクターになるかと言われるとそれも難しいでしょうね。
4Gamer:
ガイウス以外にも,最近ではいろいろなコンテンツに帝国が絡んでいますよね。
吉田氏:
かつての一枚岩だった帝国は完全に瓦解してしまっているので,例えばセイブ・ザ・クイーンで描かれているのもいちおう所属で言えば帝国ですし,「頑張れおじさん」として妙な人気を見せているウェルリト戦役で描かれている彼らも歪んだ帝国ではあります。そして,ゼノスも,本人は全く興味がなさそうですが,外から見たら帝国側の人間ですし……。瓦解していく帝国が,どうメインストーリーに集約していくか,パッチ5.5から6.0への流れでも注目ポイントかなと思います。
4Gamer:
少し話が変わりますが,ウェルリト戦役ではパッチ5.3でGウォリアーに乗って戦闘しました。また乗る機会はあるのでしょうか。「ファイナルファンタジーXIV RMT」
吉田氏:
メタ的な話ですが,あそこまでコストをかけて作ったので,1回で終わりはさすがにないかなと思います。皆さんが想像している通りの活躍かどうか今は言及しませんが,何かしらはあると。ただ,その時に果たしてFFXIVチームが無難な使い方をするのか,さらに盛っていくかはご想像にお任せしたいです(笑)。
4Gamer:
個人的には別コンテンツでの利用もあるんじゃないかと思ったりするのですが。
吉田氏:
そこまでの開発コストは,今は逆にないですね(苦笑)。
いったんウェルリト戦役の完結を迎えますので,ぜひ我々の描きたかったロボットものの結末を楽しんでください。
4Gamer:
パッチ5.5ではアライアンスレイド「YoRHa: Dark Apocalypse」の第3弾が実装されます。先月のプロデューサーレターLIVE(以下,PLL)でもお話しされていましたが,第3弾で完結するのでしょうか。
吉田氏:
第3弾で完結なのは,もちろん完結なのですが,これまでのアライアンスレイドの終わり方とはちょっと違うかもしれません(笑)。ヨコオタロウさんが手掛けているので,どこをもって完結とするか,僕からは言えないです。「ニーア」シリーズファンの皆さんにとっては,なにかキーワードを出しちゃうことで楽しみを奪ってしまう可能性が高いので,あまり詳しくは話せなくて。毎回申し訳ないのですが,今回はコンテンツ側も色々無茶をしましたし,ニーア感は全開だと思います。「ファイナルファンタジーXIV RMT」
4Gamer:
「ニーア感は全開」と言われると,結末が予想できないですね。
吉田氏:
最後に「今すぐタイトル画面に戻ってキャラクターをデリートしろ」とかはさすがに……たぶん(笑)。
4Gamer:
何をしかけてくるか今から楽しみです。
吉田氏:
相当燃える展開ですし,驚きもありますし,それをコンテンツとして実現するためにこれまであえて企画をセーブしてきたギミックもあったりします。
4Gamer:
あれほどすごい内容で?
吉田氏:
今回の第3弾で使われているギミックや仕掛けは2年ぐらい前から企画として挙がっていたものです。プログラム開発も行われていたので,毎度言われますが「FFXIVチームは何をやっているんだ」みたいな感じですね(笑)。
今回は視覚的な無茶もやっていますし,体験的な無茶もやっています。この辺がクロスオーバーの良いところでもあると思っていて,FFXIVだけを作り続けていたらなかなか出てこないアイディアとか,作らなかったであろうギミックとかが,新しい仕組みを作ることで実現できました。FFXIVの幅を広げてくれているコンテンツだと思っていますので,「MMOでよくやるなぁ」と驚きながら楽しんでもらえると嬉しいです。「ファイナルファンタジーXIV RMT」
4Gamer:
第3弾で手に入る装備のデザインも気になります。今回はオリジナルのデザインでしょうか,それとも「ニーア」シリーズに関係するものでしょうか。
吉田氏:
「ニーア」シリーズに関係していて,「そうきたかー」と言ってもらえると思います。もちろん,ニーアを知らない人たちからしても「こういう装備なかったからアリだね」と受け取ってもらえると思います。ちなみに,ボスのデザインもレーティングと戦いながらギリギリまで作りましたので,その目でお確かめいただければと思います。
4Gamer:
そういえば,第1弾と第2弾ではレアなミニオンが登場しました。
吉田氏:
今回もあります。
4Gamer:
楽しみにしています。ただ,第1弾も第2弾もまだ入手できていないのですが,これって緩和されたりしないでしょうか。
吉田氏:
今回はシリーズが完結していくということで,入手しにくかった第1弾,第2弾の一部アイテムについても,これまでに比べて入手しやすくなる調整を行いました。ぜひ,シリーズ総まとめとして,全体をプレイしていただけると嬉しいです。
4Gamer:
わかりました。では続いて,パッチ5.5でもジョブ調整を行うとのことですが,どういった調整になるのか教えてください。
吉田氏:
PLLでもお話しさせてもらいましたが,新しい絶をパッチ6.1の実装に移動させてもらうこともあって,今回は極端な高難度コンテンツが存在しないパッチになりました。そのため基本的に数字の調整がメインになります。もうこの時期にわざわざ何かのジョブの数値を下げることはしないので,基本的にはアッパー調整だと思っていただいて大丈夫です。各ジョブの大きなシステム改修はパッチ6.0に向けて作業中です。「ファイナルファンタジーXIV RMT」
4Gamer:
パッチ6.1に移動になった絶ですが,やっぱりレベル90の状態で挑むことになるのでしょうか。
吉田氏:
まだ確定とは言いづらいですが,当然すべてのバランス調整のコストはレベル90の状態に向けているので,新しい絶もレベル90の状態で挑む公算は高いです。無理にレベル80の状態で挑もうとすると,メカニクスが変わってしまうジョブも多いので不満が出てくると思います。
4Gamer:
そうなるとアイテムレベルも最新の装備に合わせた状態で挑む感じでしょうか。
吉田氏:
こちらも確定ではないですが,その予定です。パッチ6.0まで期間が空いてしまいますが,今からトレーニングしておいても,ギミック判断や反射,視野を広く持つなどのプレイヤースキルが無駄になることはないと思いますので,過去の絶に挑戦してみたり,いろんなコンテンツにチャレンジしておいてもらえるとありがたいです。
4Gamer:
戦闘コンテンツ以外にも,パッチ5.5ではクラフターに「超高難易度製作」というチャレンジコンテンツが追加されますが,これはどれぐらい難しいのでしょうか。
吉田氏:
装備をフル禁断してガチガチに整えている人たちでないと,製作が非常に難しいです。製作も,状況に応じたスキルを1手1手考えながら使ってほしい,という想定になっています。
4Gamer:
難しそうですね。ちなみに,パッチ5.5ではクラフター,ギャザラーに装備更新はあるのでしょうか。
吉田氏:
装備更新はありません。更新したとしても,新しく作るアイテムが無いので,これまでにフル禁断した装備がある人は,それで超高難易度製作にも挑戦してください。
4Gamer:
報酬などは用意されているのでしょうか。
吉田氏:
報酬は光り輝く主道具が用意されています。クラフターにおける絶とまで言うと言い過ぎかもしれないですが,報酬の主道具はかなり目立つので,持っていたら注目されると思います。腕に覚えのある人は,ぜひ挑戦していただきたいです。
4Gamer:
高難易度製作で作る物はバトルコンテンツには影響しないのでしょうか。例えば薬とか料理とか。
吉田氏:
そういった物はないです。あくまでチャレンジコンテンツです。
4Gamer:
拡張パッケージがリリースされる前といえば,漁師のヌシ釣りが盛り上がる時期という印象なのですが,「Ebisu」に続く称号の追加などはないでしょうか。
吉田氏:
今回,パッチ5.5Xシリーズで「漆黒のヴィランズ」の区切りとなりますので,そこまでをコンプリートする,という意図として一つ称号を追加することにしました。腕に覚えのある方はぜひ!