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「FFXIV RMT」FFXIV:暁月のフィナーレ」の吉田直樹氏のインタビューを掲載。1つの決着と新たな発見で物語は“終焉の先”へ
2021年10月14日

 スクウェア・エニックスは,2021年9月19~22日にMMORPGファイナルファンタジーXIV RMTPC / PS5 / PS4 / Mac)の最新拡張パッケージ「暁月のフィナーレ」PC / PS5 / PS4 / Mac)のメディアツアーを開催した。

画像集#017のサムネイル/「FFXIV:暁月のフィナーレ」の吉田直樹氏のインタビューを掲載。1つの決着と新たな発見で物語は“終焉の先”へ


 パッチ6.0「暁月のフィナーレ」では,新ジョブとなる「リーパー」「賢者」が登場するほか,既存の17ジョブについてもさまざまな変更が行われる。ジョブ関連すべての話を聞ける時間は取れなかったが,本作のプロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏に,新ジョブを含むバトルシステム関連の話題を中心に,新エリアやダンジョンなどの話を聞いてきたので,その内容をお届けしよう。
ファイナルファンタジーXIV RMT

高回転攻撃が特徴の「リーパー」とテクニカル・バリアヒーラーの「賢者」


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。今回,大きなトピックはバトル関連の調整ということで,ジョブの話をメインにお聞きしたいと思います。さっそくですが,新ジョブ「リーパー」「賢者」のコンセプトを教えてください。

画像集#003のサムネイル/「FFXIV:暁月のフィナーレ」の吉田直樹氏のインタビューを掲載。1つの決着と新たな発見で物語は“終焉の先”へ

吉田氏:
 語弊があるかもしれませんが,「FFXIV」は僕らが自由にコンセプトを決めるというより,プレイヤーの皆さんが新しいジョブに,どういうものを期待しているのか,どのロールの追加を期待しているのかが先にあるんです。

4Gamer:
 今,プレイヤーが望んでいるのがDPSとヒーラーだった,と。

吉田氏:
 ちょっと詳しくお話ししますね。まず「賢者」ですが,「漆黒のヴィランズ」を発表していく段階で,追加となる新しい2ジョブの中にヒーラーがなかったことに対して,世界中から「なんでヒーラーじゃないの?」というお声をたくさんいただいたのです。

4Gamer:
 蒼天でタンクとヒーラー,DPS,紅蓮でDPSが2ジョブだったので,単純に次はヒーラーかなと思ったら,「ガンブレイカー」(タンク)と「踊り子」(DPS)だったので意外でしたね。

吉田氏:
 正直,僕が思っていた以上に新しいヒーラーをプレイしたいというリクエストが強くあったことを,そこでよく理解できたのです。ですので,「漆黒のヴィランズ」発売前から開発チームの中では,6.0ではヒーラーは入れないとね,と決まっていたのです(笑)。
 そこからアイデアのブレイクダウン(概要の詳細化)を始めていったのですが,実はヒーラーを作るのはすごく難しいのです。

4Gamer:
 と言いますと?

吉田氏:
 ヒーラーですから,基本的にはヒールがメインの行動になります。いわゆるボスコンテンツで,エスナを連発するような機会があるかというと,ありません。やはり,全体攻撃やタンクへの重い攻撃に対してどう対処していくのかを考え,自身もギミックを処理しながら攻撃するということになります。その中でヒールのメカニクスにどうジョブの個性を出し,どう面白くするのかというのは,ヒーラーの攻撃にローテーションというものを入れないことで,かなり難しい課題なのです。
ファイナルファンタジーXIV RMT
4Gamer:
 確かに,ヒールは瞬間的な結果が必要ですから,(味方が倒されてしまうので)あまりメカニクスを複雑にもできませんし,面白さの差別化はなかなか大変そうです。

吉田氏:
 そして,これまで3ヒーラーの状態でも,個性と調整の間で長く難しい対応をしてきたこともあり,ヒーラージョブが4つになることを考えて,“ピュアヒーラー”“バリアヒーラー”と2ジョブずつに分けて,ヒーラーの中でさらに役割を明確化しよう,と。
 ここである程度,体験差は大きく出せることを担保し,そのうえで,じゃあバリアヒーラーとしてさらに差別化を図るとしたらどうすればいいか,というところを考えるポイントにしたんです。

画像集#002のサムネイル/「FFXIV:暁月のフィナーレ」の吉田直樹氏のインタビューを掲載。1つの決着と新たな発見で物語は“終焉の先”へ


4Gamer:
 同じバリアヒーラーというと学者ですね。

吉田氏:
 はい。学者にはペットとして“フェアリー”がいます。フェアリーはオートマチックでヒールしてくれるという特徴がありつつ,バリアヒーラーとして基礎となる要素をすべて綺麗に所持している。つまり,おかしな言い方になりますが,「ピュアなバリアヒーラー」という位置づけです。今回もそれをストレートに伸ばしたアクションが追加されており,フェアリーの挙動ももう一段階調整を入れてあります。
 その学者に対して,「ちょっとテクニカルで癖のある」のが賢者というイメージですね。あとは,「ヒーラーなのに攻撃ばかりしてヒールしてくれない……」みたいな話題が出ることもあり……。

4Gamer:
 まあ……攻撃に夢中になることはありますね(笑)。

吉田氏:
 ヒールしつつも,攻撃したいというヒーラーさんがいるのは分かっていますが,そちらに振り切ったということではなく,同じロールとなるバリアヒーラーである学者は,自身の攻撃中にもフェアリーがヒールしてくれる,という要素があります。それを踏まえ攻防一体というか,攻撃をするとヒールが発動するという変わった特徴を持たせているのです。インスタントのバリアヒールが多くて,かつアクションの中身を1アクションで切り替えられるという,テクニカルに攻撃とヒールを両立させられるジョブにしました。

 一方のリーパーに関してですが,「DPSを実装する」というのはプレイヤーフィードバックではなく,これは「もっともプレイヤー人口の多いロールに新ジョブを足す」という,僕が考えた「FFXIV」の暗黙の了解のようなものです。3ジョブ追加できれば,「タンク/ヒーラー/DPS」を足せますが,2ジョブになると「タンク/DPS」か,「ヒーラー/DPS」か,「DPS/DPS」になる,というのがこれまでですね。次にどうなるかは,そろそろ分からなくなってきましたが……(苦笑)。

 その上で,DPSの追加を考えるときのアイデアとして,一番すんなりとハマるのが装備アイテムの内訳なんです。それで見ると,竜騎士だけがMeleeDPSの中でメイルという(防具系統の)立ち位置にいるので,そこにするのが装備の区分け的にもいいだろうという話になりました。忍者も近接物理DPS内では似たように見えますが,レンジと共通という部分がありますからね。

4Gamer:
 なるほど。確かに竜騎士のみ装備可能な防具が多かったです。ある意味,空き枠だったというわけですね。

吉田氏:ファイナルファンタジーXIV RMT
 はい。該当するポジションとして近接にしましょうとなって,ここでプレイヤーの皆さんのフィードバック,「巨大な鎌を使うジョブをプレイしてみたい!」という点を重視しました。我々としてもアイデアを出しやすい武器種にも思え,ここはすんなり決まり,そこからブレイクダウンしていった感じです。立ち位置としては,ややテクニカルで,かつ火力も結構出せるというところが望まれているので,今回はそこを目指して作ることになりました。

4Gamer:
 確かに若干,操作がテクニカルな気はしましたね。

吉田氏:
 操作難度に関しては,もう少し抑えても良かったかなとは思ったんですが,いろいろできるようにしていった結果,やや忙しくはなりましたね。これ以上抑えると,良い部分も消えそうだったので,よしこれでOK!と(笑)。
 そして,鎌から「死神」を連想して,さらに死神の容姿のイメージから連想される,ボロボロの布をまとった姿がAF(アーティファクト)になるかというと……。

4Gamer:
 それは,ちょっと地味ですね(笑)。

吉田氏:
 はい。ですから,アヴァターという存在をペットではなくて,パートナーのようにして,最終的にそれを身にまとうというイメージで新しさも出せるかな,と。

画像集#020のサムネイル/「FFXIV:暁月のフィナーレ」の吉田直樹氏のインタビューを掲載。1つの決着と新たな発見で物語は“終焉の先”へ


4Gamer:
 装備の格好良さも担保できて,アヴァターで死神っぽさも出せるという一挙両得みたいな感じです。

吉田氏:
 そういう意味だと厨二感がきついと思うかもしれませんが,うちのチームは僕を筆頭に厨二精神の持ち主が多いので,そこまでは割とすんなりと決まった感じでしたね……(笑)。

4Gamer:ファイナルファンタジーXIV RMT
 なるほど(笑)。パッチ6.0では全体的にバトルスピードが速くなった印象ですが,その中でもリーパーの高回転攻撃は特徴的だったと思います。

吉田氏:
 そうですね。リーパーに限らず,5.x以降の流れでメカニクスをシンプルというか,わかりやすくしていく分,今度は回転数を上げようと考えました。技を連続で撃ち出しているときの気持ち良さってあると思うのです。
 ですから,ローテーションの中で暇な時間というか,ほとんどアビリティを使っちゃって,あとはコンボをつないでおくだけ……みたいな時間をできるだけ少なくしたかったんです。

4Gamer:
 ああ,なるほど。アクションがチャージタイプになっていたり,必要なリソース量が下がっていたりと,試遊でその意図は感じられました。

吉田氏:
 グローバルクールダウン(GCD)が短くなっているかというと,そうではないのですが,1回のバースト()時間を長くするよりも少し短くして,次のバーストまでの間隔を縮めることで,全体的に忙しくなるというか,“やっている”感覚がより強くなるところを6.0全体で目指しています。

※アクションを一気に使用して短時間で大ダメージを狙うこと。ほかプレイヤーとのシナジー効果を考えて,同じタイミングで行うことが多い

4Gamer:
 スピードが速くなったという印象は,それだけバーストのタイミングが多くなったからというわけですね。

吉田氏:
 そうですね。とくにリーパーは,「レムールシュラウド」でアヴァターを憑依させたときに,さらにそのテンポが速くなるという特徴になると思います。

4Gamer:
 賢者については,「エウクラシア」の使い方がキモになってくると思うのですが,あれは切り替え,つまりトグルのようにはなっていないんですね。

吉田氏:
 なっていません。手動でバフを落とせば解除できますが,それをやるシチュエーションはあまりない気はします。

4Gamer:
 まあ,落とすくらいなら,MP消費分を考えたとしても,そのまま使っちゃったほうが早いのかな。

吉田氏:
 そうですね。どっちかというと,エウクラシアを使うタイミングは,押しておいて使うではなく,“今これが必要だと思ったとき”なのです。その感覚に慣れが必要になります。

4Gamer:
 開幕に継続ダメージ(DoT)を入れるために使う感じでした。

吉田氏:
 あとは途中でDoTを更新しなきゃいけないときとか,バリアを瞬間的に張りたいときとか,そう思ったときに実行して使うという考え方ですね。あれをトグルの仕様にしてしまうと,GCDが入ってしまう(すぐに次のアクションが使えない)から,かえってストレスになると思います。

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