The Elder Scrolls Online RMT
シングルプレイRPGの感覚でプレイできるゲーム序盤
圧倒的なボリュームのクエストを進めて世界を広げよう
クエスト画面。ときおり重要な選択を迫られるので,可能な限りテキストには目を通しておいたほうがいい
プレイ序盤となるレベル10まで(Alliance Warに参加できないレベル)のゲームプレイは,クエストが軸になり,イベントに対応してプレイヤーが処理を行う,いわゆるクエストドリブンなスタイルでゲームが展開する。現在のMMORPGにおいて主流ともいえるスタイルなので,(全編英語なのはさておき)分かりやすさとプレイしやすさが兼ね備えられた環境といえる。Elder Scrollsシリーズ経験者なら,シリーズを通しての舞台Tamriel(タムリエル)の住人としてすぐに馴染むことができるし,シリーズ未経験でも,クエストを追いかけていくことで,緻密に設計されたTamrielの世界に少しずつ没入していける。
序盤はシングルプレイ用のRPG──「The Elder Scrolls IV: Oblivion」や「The Elder Scrolls V: Skyrim」と同じような──感覚で,完全に一人で進行することも可能だ。次々と新しいクエストが提示され,それをこなしていくと自然に行動範囲が広がっていくため,「次に何をすべきか分からなくなる」ということはないだろう。
クエストのボリュームはというと,MMORPGの中でも圧巻のボリュームで,同じようにクエスト数に定評のあるシリーズ過去作に勝るとも劣らない。メインストーリーを進めていたはずが,目的地の手前で別のサブクエストが派生してしまって,そちらを先にこなすべくダンジョンをクリアして出てきたところで,怪しげなNPCが走ってきて別のサブクエストが発生。気がつくとメインストーリーのことはすっかり忘れてしまっている……なんてことは日常茶飯事だ。まさにElder Scrollsシリーズの醍醐味が詰まっているのである。
本作は,OblivionやSkyrimを制作したBethesda Softworksではなく,同グループのZenimax Online Studiosが開発を担当しているわけだが,Elder Scrollsシリーズ”らしさ”という部分には,こだわりがあるという。Tamrielの歴史観とそこから派生するシナリオはもちろん,ゲーム全体の手触り感まですべてシリーズの延長線にあり,オンラインゲーム化されたElder Scrollsシリーズ最新作という立ち位置は揺るぎない。
冒険中に道を歩いているNPCを見つけたら,商人なので話しかけてみよう。とくに重要なのが,道の脇に黒い馬と共にいる女性だ。普通には買えない商品を福袋形式で扱っている。値段が高く,内容が不明なのだが,いつどこで出会えるかは不定なので見かけたらできるだけ利用しておきたい。ここではレベル10用の防具とレベル5用の武器を買ってみたが,レベル10用はレベル不足で開封できず,レベル5用の武器の袋では盾が出てきた。武器を期待していただけにちょっと肩透かし。レベル5用としては,そう悪いものでもないのだが……
本作のクエストがやや特異なのは,そのほとんどが非プライベートな空間で行われることだ。さらに言えば,本作は単一のサーバーであるかのように,「多くのプレイヤーを一つの世界で冒険させることができるシステム上で作られている」とされており,クエストなどの進行では多くの見知らぬプレイヤーとともに戦うことになる。
で,問題なのはクエストの進行速度がプレイヤーによって少し異なるということだ。実は先に行われたPTS(パブリックテストサーバー)レポートのときは,クエストを進めていて,先行するグループがボスを倒してしまうと,ボスの姿も見ぬうちにクエストクリアになっていたことがあった。
それが,今回のβテストでは,クエストを進めていって最終段階に達したのにボスやクエストNPCが登場しないということがたびたび発生していたのだ(当然クリアできなくなる)。おそらく先行していた誰かが倒してしまったのだろう。PTS時とはクエストの仕様が変更されていた可能性もあるのだが,これは負荷テストの影響かもしれない。
パーティを組まずに防衛系クエストを終了したところ。しかし,報酬をくれるNPCはどこにもいなかった
前述のように,ワールドレスなサーバー構造を持つという本作は,おそらくは多くのチャンネルに分けられて,ゲーム全体がインスタンス化されているのだろう。ただし,プレイヤーがどのチャンネルにいるのかは分からない仕様になっており,これで一番困ったのは,パーティメンバーが別々のチャンネルに割り当てられてしまうことだった。目の前にいるプレイヤーとパーティを組むのならいいのだが,知り合いを検索してパーティに招待すると,多くの場合,別チャンネルのままパーティが構築されてしまうのだ。
これは,なんとかパーティプレイができている状態
The Elder Scrolls Online 在庫
ゲームワールドには多くのチャンネルのレイヤーが重畳されているようで,近くにいるはずなのにパーティメンバーが表示されず,メンバーの位置を示すマーカーだけが動き回るのだ。地図上でもメンバーの位置は確認できるが,パーティメンバー名はハイライトオフされており,明らかに別のチャンネルにいることが分かる。
リログを繰り返すと同じチャンネルになることもあるのだが,建物の内部などに入るとまた見えなくなるといった具合だった。同じチャンネルにいても,少し離れると姿が突然消えたりといったこともあった。
そのほか,生産や買い物のUIからゲーム本編に復帰できなくなったり,UIエラーが発生したり,クエストNPCが消えたり,見えない敵に襲われたり,攻撃しても素通りしてしまうのだがしばらくしてどこからともなく集まったMobにタコ殴りされたりと,過度なサーバー負荷が原因と思われる症状はいろいろ出ていた。プレイヤーが殺到するであろう本サービスまでに解決されているのだろうかと多少不安も残る。
継続してクエストを進めるもよし,Alliance Warに参加するもよし,世界の広がりに応じて遊びの幅も広がる
さて,レベル10になり対人コンテンツのAlliance Warに参加できるようになると,ぐっと行動範囲が広がってくる。
Alliance Warについては,Tamrielの歴史が形成されるうえで重要になった戦争に自ら参加できる魅力的なコンテンツだが,あくまで自由参加であり,興味がないならクエストとフィールドの探索を中心にプレイすることもできる。つまり,序盤から継続してシングルプレイ用のRPGとして遊ぶことも可能だということだ。
ほかのMMORPGだと,導入部分をすぎると極端にクエストが減ったりするケースも見られるが,ESOでは中盤以降もクエスト数はあいかわらず多く,プレイの勢いが失われることはない。ただし,レベル10前後からクエストにキャラのレベルが追いつかなくなってくるので,ソロでプレイするとザコ狩りで経験値を稼ぐ必要が出てきて,クエストをこなすペースは少々落ちてくる。それでも,ソロでこつこつプレイしても成果を得られるのは嬉しい仕様といえるだろう。
クエストの効率化を図るうえで,また,いままでのシリーズ作になかった楽しみとして挙げられるのが,ほかのプレイヤーとパーティを組んで冒険に挑めるところだ。MMORPGだけに当然といえば当然だが,志を同じにする仲間とクエストを次々とクリアしたり,後から始めた友人のクエストを手伝ったりと,パーティプレイではソロプレイでは味わえない大きな充足感を得られる。さらに,Alliance Warにパーティで参加することで,より戦略的なRvRを楽しめるのも魅力だ。
あちこちにあるSky Shard。スキルポイントが増えるので,これを集めるのも重要だ
PvEのバランスという面で見ると,装備の充実度にも左右されるが,モンスターと一対一で戦う分には,多少格上の敵でも余裕をもって対峙できる。半面,複数の敵を一人で対処するのは,だんだん厳しくなっていく。倒した敵がすぐに復活するわけではないので,ダンジョンなら自キャラが戦闘不能になる前に頭数を減らしておいて,戦闘不能になってしまったらすぐにバトルの行われた場所に急行して残りを撃破する……なんて強引な作戦もできなくはないが,素直にパーティを組んだほうがよいのは間違いない。
ちなみに,ESOにはインスタンスダンジョンも用意されているが,こちらは,部屋にいる敵を攻撃すると部屋内の敵が一気に襲い掛かってくる。ソロでのチャレンジは難しく,敵と同等のレベルで挑む場合,パーティ専用といっても差し支えないレベルだ。
冒険者になりきってソロの限界に挑むのか,仲間との協力プレイで楽しむのか,PvPで最強を目指すのか。人によって夢中になれるポイントは違ってくると思うが,ESOでは全体的にMMORPGとしての面白さのツボがきっちり押さえられている印象だ。
冒険の途中で見つかる宝箱。Pick Toolを持っていれば,シリンダー錠のピンを1本ずつ押していき,ガタガタ揺れだすタイミングで止めることで開錠可能
発売前から意識して開発されたエンドコンテンツ
自分の嗜好に合わせて興味のあるコンテンツをトコトン追求可能
他人の家に入ってものを取りまくるのはゲームの基本。たまにいいものを見つけることも
The Elder Scrolls Online 最安値
長年培われてきたElder ScrollsシリーズのゲームシステムとTamrielの世界観がベースになり,そこから導き出された要素の数々に,仲間との協力プレイやRvRといったMMORPGらしい要素が加味されて完成したESO。いままでの説明から,プレイの序盤から中盤までコンテンツが充実していることが分かってもらえたかと思う。では,エンドコンテンツと呼べるものはあるのだろうか。
領地戦が最大のエンドコンテンツであることは疑いようがないのだが,それ以外でもかなり奥の深い作りになっている。
まず,プレイを続けていけば,いつかはレベルキャップとなる50レベルに達するときがくる。数が多すぎて正直どのくらいの時間が掛かるのか予想もできないが,クエストもいつかすべてクリアしてしまうときがくるかもしれない(アップデートでさらに増える可能性もあるが)。
先に見えるマークの付いたNPCから受けるクエストは,死んだ子供のために各地で祈ってくれというもの。指定された祈りの場所は,かなりとんでもないところばかりなのだが,ちゃんと低レベルでもクリア可能にできているのが面白い
それでも,Tamrielでの冒険は終わることがない。PvPを本気で楽しみたいと思ったら,スキルビルドが完成するレベル50からが本当のスタートといえるし,所属する同盟が違う別キャラクターを作れば,今までとは違ったストーリー展開に驚くこともあるだろう。なお,レベルキャップの50に到達したキャラクターは,その時点での勢力ストーリーを完結することができ,同じキャラクターを別の勢力に転生させることもできるのだとか。転生といってもレベルが1からリスタートするのではなく,レベル50のまま勢力ストーリーを最初からプレイ可能となっている。単純に強くてニューゲーム……というわけではなく,NPCやモンスターもレベル50対応になるということなので,ハードモード的な歯ごたえのある冒険が楽しめそうだ。
釣りもできる。釣りができる場所は限られており,魚が飛び跳ねる「Fisshing Hole」の場所のみ。Eキーを長押しして餌を選び,再びEキーを押すと釣りが始まる
また,生産関連のスキルを極めようと思うと,それも一つのエンドコンテンツと呼べるくらいのボリュームがありそうだ。スキル自体は序盤から使えるのだが,実際に生産して経験値を稼いでレベルアップをしていく必要があるため,素材の調達を含めて生産スキルをマスターするまでの道のりは長い。そして,生産物の品質を向上させるシステムや,特殊なボーナスを付与する隠されたクラフトステーションなどもあったりして,単純なようでいて実に奥深い。
料理関係は,材料も手に入れやすく簡単に始められる生産スキルだ。同じUIのタブ切り替えで醸造も行える
スニーキングを駆使して強敵の横をすり抜けて素材を集め,キャラクターレベルが低いうちから職人を目指すのは,Elder Scrollsシリーズらしい遊び方といえるだろう。
Iron Oreは目立つ茶色の石なので比較的集めやすい。ただ,鍛冶で使うときはまずインゴットにしておく必要がある。鍛冶UIの最初のタブには見当たらないため,説明を読み飛ばすと途方にくれるかも
小物がたくさん並んだ棚。単なる飾りではなく,拾えるものも多い。上の画面のようなシーンで拾えるアイテムをすべて回収すると下の画面のようになる
あちこちにある本棚の本を読むだけでスキルを覚えたり,強化できることも
膨大なコンテンツ量に加えて,サービス開始前からエンドコンテンツまで計算されており,ESOがシリーズの伝統を受け継ぐ最新作であると同時に,完成度の高いMMORPGであることが分かっていただけただろうか。
PC / Mac版の国内発売予定日まで一か月を切り,日増しに期待感が高まってきているが,ESOには,その期待を裏切らないだけの高いポテンシャルがあることは間違いないだろう。
ジ・エルダースクロールズ・オンライン RMT